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第10回:個人賠償保険

日本人は保険への意識が非常に高く、生命保険の世帯加入率は87.5%(2006年生命保険文化センターより)とほぼ8世帯のうち7世帯が生命保険に加入しており、生命保険加入率は世界でも突出して高い数値となっています。

しかしながら、生命保険と比較して損害保険の意識はそれほど高くはなく、自動車保険火災保険以外はあまり意識しない人も多いのが実情です。そこで今回は、損害保険のひとつである「個人賠償保険」について考えてみたいと思います。


保険の盲点だった「個人賠償保険」

高野さん(36歳・女性)は同い年の夫と7歳の1人(7歳・男の子)の3人暮らし。10年前に生命保険に加入しました。高野さんは、家族に万が一のことがあっても大丈夫なように、生命保険に毎月3万円、医療保険に5千円支払っています。毎月の支払い額は多いものの、生命保険であれば貯蓄部分もあり、また突然の出費に対して万全の対策が取れているという安心感は何物にも替え難いという思いから、保険の見直しはしませんでした。

ところがそんなある日、事件が起きました。高橋さんの子供が野球をしていて、民家のガラスを割ってしまいました。このガラスはたまたま高価なものだったこともあり、114万円の弁償をしなければならなくなってしまいました。病気やケガであれば生命保険から補償されますが、今回の場合は壊した物に対する損害賠償ですので、保険金は支払われません。結局、貯金を取り崩して全額を現金で支払い、次からはこんなことがないように個人賠償保険に加入しました。ちなみに、現在加入している個人賠償保険は1億円までの保障で、月々250円。1000万円の個人賠償保険でも毎月150〜200円ぐらいです。こんなことならば、毎月3万円以上支払っている生命保険料のうちのほんの少しでも個人賠償保険にかけておけばよかった、と、高野さんは後悔しています。


個人賠償保険が補償する範囲は意外に広い

個人賠償保険とはいったいどんなものなのでしょうか。

個人賠償保険は、私たちが日常生活をしている中で他人に対してケガをさせてしまったり、あるいは物を壊してしまったりして法律上の損害賠償義務を負った場合に補償される保険です。例えば、

  • 風呂の水を出しっ放しにして下の階で水漏れを起こしてしまった
  • 買物に行った際に、商品を落として壊してしまった
  • スキーで人とぶつかってしまい、ケガをさせてしまった

など、様々なケースなどに対応します。

個人賠償保険の範囲は申し込んだ本人以外も対象となります。個人賠償保険がカバーされる範囲は、以下の通りです。

  • 本人
  • 配偶者
  • 同居の親族
  • 生計を一にする別居の未婚の子

つまり夫婦や子供以外であっても、一緒に住んでいるのであれば親戚であったとしても補償されます。また、子供が下宿をしているなど、一緒に住んでいなくても親の仕送りなどで生計を立てている場合は、「生計を一にする」と見なされますので、やはり個人賠償保険の対象となります。

ただし、いくつか注意をしなければならない点もあります。

まず、仕事中に発生した賠償責任については対象外となり、業務中の賠償保険は別にありますので、そちらで対応しなければなりません。同様に、自動車事故に関しては「自動車保険」が別にあり、個人賠償保険ではカバーされません。また、人から借りたものを壊してしまった場合においても原則はカバーされません。ただし、最近は保険の種類によっては借りたものも補償するものもありますので、加入時に保険証書をよくチェックしてみましょう。


「事故の確率が低いから保険に入らない」は本末転倒

個人賠償保険は実際に起こる確率が低いため、意外と意識が低いのが実情です。しかし、確率が低いから入らない、というのは本末転倒であり、実は「確率が低く」かつ「賠償金が多額に上る」ケースこそ、保険でカバーしなければならないのです。

以下の図をご覧下さい。

この中で一番大事なのは、上の図のAの部分です。例えば、Bの部分については、保険でなくても貯蓄をしておけば、そこからカバーすることも可能です。もちろんBについても保険でカバーをすることも可能ですが、万が一のことが発生した場合でも、死亡や高度障害などに比べれば、その後の生活にそこまで大きな支障を与えるということではありません。しかし、Aの部分については、貯蓄でカバーすることは、相当なお金持ちでない限り不可能なのです。そこで、Aの部分については掛け捨てであっても少しずつお金を支払い、万が一のときには、みんなでカバーするという考え方が重要になります。

この考え方に照らし合わせてみると、高野さんはまずは最低限でもAの部分をカバーし、もしさらにBの部分についても余裕があれば、貯蓄性のある保険でカバーするという考え方が必要ということがわかります。


あきらめないで! 実は個人賠償保険に加入しているかも!?

個人賠償保険に加入をした覚えはなくても、実は加入しているというケースもあります。例えば、クレジットカードに個人賠償保険が付いているものがあります。あるいは自動車保険に付帯されているケースもあります。また、マンションに住んでいる場合は、「団地保険」と呼ばれる個人賠償保険に加入されているケースもあります。したがって、何か壊して弁償をしなければならなくなった場合でも、あきらめずに「本当に個人賠償保険に加入していないか」をもう一度冷静になって調べてみましょう。

ちなみに、自動車保険やクレジットカードで付保されているから個人賠償保険にあえて加入しないという人もいます。この場合は、クレジットカードを解約したとき、あるいは自動車保険を切り替えたとき、もしくは車に乗らなくなったときなどは注意が必要です。「個人賠償保険」に加入しているという意識があまりないことが多く、つい忘れがちになってしまいますので、その際には忘れずに加入することを覚えておくようにしましょう。


執筆:坂本光(さかもと ひかる)CFP
一級ファイナンシャルプランナー・CFPR、日本キャリア開発協会認定キャリアカウンセラー、日本応用カウンセリング審議会認定心理カウンセラー。2006年5月週末起業を決意し、通信事業者に勤務しながら合同会社FPアウトソーシング代表を務める。ファイナンシャルプランニングに関する個別相談・セミナー講師としても活動中。

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