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第16回:未公開株式

昔は株式投資を行う人はそれほど多くありませんでしたが、2000年に入るとインターネット証券が急速に広がり、今や個人で株式投資を行うのは珍しいことではなくなってきました。その中でも、新規に上場する会社の株式は上場をした際に値上がりすることも多く、人気です。このように新規公開株の人気上昇にともない、未公開株式の購入を求める消費者も多くなってきているのですが、未公開株式の購入をめぐってのトラブルも消費者センター等に届いています。
そこで、今回は「未公開株式」の失敗事例をご紹介したいと思います。


「未公開株式」にだまされて・・・・

柴山さんは35歳サラリーマン。最近ネット証券の口座を開いて株式投資を始めました。新規公開株式にはいつも目を光らせており、抽選で当たった株式は上場後に売却し、利益を得ていました。

さてそんなある日、株式投資セミナーに行ってみると、セミナー参加者限定で「薬品会社として有名なX社の未公開株式が50万円で購入できる」と言われました。その人によると、X社はまもなく上場する予定であり、150万円までは確実に上がるはずなので3倍以上になるとの説明でした。

柴山さんはその説明を聞いて、家に帰って早速50万円を用意しました。

3ヶ月経過したある日、新聞に「新規上場が正式に決まった」との記事が掲載されていました。柴山さんは飛び上がって喜び、株価がいくらになるのだろうかとワクワクしていました。

ところが、その会社の公募価格はなんと15万円。結局上場を果たした後も株価は20万円前後で推移しているという状況でした。だまされたと思い、柴山さんは何度もセミナー主催者に連絡を取ろうと思っても電話がつながりません。結局、泣く泣くX社の株を20万円で売却し、30万円の損となってしまいました。


未公開株式のトラブル件数

未公開株式に関するトラブルは急増しています。
以下の図をご覧ください。これは2009年6月17日に発表された、国民生活センターに寄せられた相談件数の推移になります。

未公開株式の相談件数

この表をみればわかるとおり、2005年から急速に増えており、2007には一時的に減ったものの、2008年度からまた増加傾向にあります。
相談内容は以下のようなものが含まれてます。

・絶対に上場すると言われて購入したが、未だに上場していない。販売会社の連絡先にもつながらない。
・大学の投資サークルで未公開株を勧められ、学生ローンで借金をして購入したが未だに株式上場はしておらず、その会社に問い合わせたら今後も上場の予定はないと言われた。

上述のように、最初から騙すつもりで商品を勧奨していたと思われる悪質なケースも多いようです。そのため、金融庁や証券業協会、国民消費センター等、さまざまな団体を通じて未公開株式の公開株式に関する注意喚起がなされています。

では、未公開株式の誘いを受けた際に、どんなことを注意すればよいでしょうか。

1. 勧誘してきた人(あるいは会社)を確認する
2. 該当の株式会社について調査する
3. 株券について調査する
4. 適正な価格かどうかを調査する

1. 勧誘してきた人(あるいは会社)を確認する
まず、その会社が実在する会社かどうかを調べましょう。また、「証券業の登録」を受けている企業でないと株式売買の営業を行うことはできませんので、金融庁ホームページを通じて確認してみると良いでしょう。

2. 該当の株式会社について調査する
株式会社が実在するかどうか、上場の予定があるか、などを確認しましょう。なお、場合によっては株式の販売会社と当該株式会社が共謀して詐欺を働く可能性も想定して調べましょう。

3. 株券について調査する
当該会社が正しく株式を交付するかどうかを確認しましょう。ちなみに、ほとんどの非公開企業は「株式の譲渡制限」がついているのが一般的であり、その場合は株式が手に入ってもその会社の取締役会で承認を得ない限り名義を書き換えることはできません。

4. 適正な価格かどうかを調査する
価格の妥当性は非常に難しいところですが、財務情報が開示されていれば株価が妥当かどうかはPBR(純資産倍率)などの指標により、ある程度予測できる場合もあります。ちなみに「少なく見積もっても上場後10倍になる」などといわれた場合は、根拠を聞いてみることが大事です。

ここ数年で様々な金融詐欺トラブルが発生しています。
例えば、「匿名組合」「投資事業組合」と称して「元本保証、確定の高利息」などを謳っている団体もあり、平成電電や近未来通信などはこの投資形態で損失を被った人が多数出ました。また、金取引をめぐっては「ロコ・ロンドン取引」においては、投資実態がないような団体が投資家から資金を集めて運用しているように見せかけていたという事件も記憶に新しいところです。

こうした「儲け話には裏がある危険性がある」ということを頭に常に入れておきましょう。


上場できなかったときのリスクを考える

最後に、上場予定であったとしても、市場やビジネス環境など様々な要因により上場が延期される、あるいは見直しとなることがあります。
上場がなされなければ、未公開株は売買を成立させることはとても難しく、換金をする方法はほとんどありません。
特に取引内容が理解できない場合にははっきり断ることが大切です。


執筆:坂本光(さかもと ひかる)CFP
一級ファイナンシャルプランナー・CFPR、日本キャリア開発協会認定キャリアカウンセラー、日本応用カウンセリング審議会認定心理カウンセラー。2006年5月週末起業を決意し、通信事業者に勤務しながら合同会社FPアウトソーシング代表を務める。ファイナンシャルプランニングに関する個別相談・セミナー講師としても活動中。

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