お金の失敗談

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第24回:FX取引

最近、本屋に行くと「短期間でお金をたくさん稼ぐ方法」という本がたくさん並んでいます。この中でも特に、FX取引に関する本が人気であり、今やFX取引はもっとも人気のある投資方法の一つといえるでしょう。しかしながら、果たして本当に短期間でたくさん儲けることができる、そんなオイシイ話がこの世の中に存在するのでしょうか。そこで今回は、「FX取引に関する失敗談」ということでお話をしたいと思います。


大儲けから一転して・・・

吉田さんは43歳。妻と子供2人の4人暮らしです。上の子供が中学1年生、下の子供が小学校4年生で、子供のおけいこや塾で多くのお金が必要です。そこで、日頃から節約をして貯まった200万円を、投資で増やそうと考えました。

何かいい方法がないかと調べてみると、FXという投資でたくさんお金を儲けた人の記事が書いてある雑誌を見つけました。株の投資は難しそうだし、投資信託は色々とあってよくわからなかったのですが、FXならば為替の話なので、直感的に分かりやすく、しかも短期間で大儲けができると記事に書いてあったので、早速FXの口座を開いて取引を開始しました。

ドルの価格ならば毎日ニュースで放送されて安心なので、円とドルの取引から始め、最初は取引を1万ドルから始めました。10銭円安になるだけで1000円儲かり、円安が1円進むと、なんとそれだけで1万円儲かります。しばらくしてコツをつかんだ吉田さんは、レバレッジをどんどんと大きくし、10倍に増やしました。すると、ちょうど円安の時期に重なっていたこともあり、売り買いを繰り返してわずか6ヶ月で100万円も稼ぐことができ、元手は300万円になりました。雑誌にはプロの投資家が「円安傾向が当面続く」と予想していたので、思い切って一気にレバレッジを100倍に引き上げ、100万ドルの取引をすることにしました。これでさらに2円円安になれば、さらに200万円が稼げます。こんなに簡単にお金が稼げるのか、と吉田さんはワクワクしていました。ところがその直後、予想に反してドルが大暴落し、みるみるうちに円高になっていきます。わずか1週間で5円以上も円高になってしまい、結局吉田さんが稼いだお金と貯金の合わせて300万円全てを失うこととなってしまいました。

吉田さんとしては、悔やんでも悔やみきれないお金の失敗談となってしまいました。


FXってなに?

そもそもFXって何のことなのでしょうか。
FXとは「Foreign Exchange」の略であり、外国為替相場の動きに合わせて通貨を売買して利益を狙う商品のことを指し、日本語では「外国為替証拠金取引」と呼ばれています。

では、実際にはどんな仕組みになっているのでしょうか。
以下の図をご覧ください。まず日本円とアメリカドルの関係について考えてみましょう。

今現在、$1=100円と仮定して、$10,000ドルの取引をする場合100万円必要になります。
これが10円円高、円安それぞれになったときのことを考えてみましょう。
・10円円高の場合 90円×10,000=90万円(10万円の損)
・10円円安の場合 110円×10,000円=110万円(10万円の得)

このとき、通常であれば$10,000の取引を行うためには、日本円で100万円を用意しなければなりません。ところが、FXの場合であれば100万円を用意しなくても少額で取引が可能になります。例えば10万円を「証拠金」として預けて$10,000を取引する場合、1ドルが100円から90円になる(つまり10万円の損になる)までは取引ができます。反対に1ドルが110円になると10万円の得となるため、つまり10万円の元手で10万円の利益を得ることができるのです。

この場合は10万円で100万円分の取引、つまり10倍の取引をしていることになります。このように、少ないお金で大きなお金を動かすという意味から「レバレッジ(てこの意味)」を働かせることにより、より大きな額の取引ができるのが特徴です。

また、このほかにも「スワップポイント」で儲けるという手段もあります。では、このスワップポイントとは何でしょうか。スワップポイントとは金利が異なる2種類の通貨の売買によって発生するものであり、2国間の“金利差調整”のことを指します。金利の低い通貨を売って、金利の高い通貨を買った場合には、その金利差額分の受取りが発生し、反対に金利の高い通貨を売って金利の低い通貨を買う場合には金利の支払いが発生します。

例えば、オーストラリアドルと日本円の取引を考えてみましょう。2010年3月5日現在、オーストラリアの金利は2010年3月現在で4.0%であるのに対して、日本では0.1%ですので、オーストラリアドルを日本円で買った場合にスワップポイントがもらえます。

ではここで、1万オーストラリアドルを日本円で買った場合のシミュレーションをしてみましょう。
1オーストラリアドル=75円、1万ドルの取引をした場合のスワップポイントを80ポイント(つまり80円)もらえる場合は以下のようになります。

80円×365日=29,200円・・・・1年間にもらえるスワップポイントの合計

一方、元手は1万ドル×75円=75万円なので、1年間の利回りは

29,200円÷750,000円≒3.89%

スワップポイントと為替変動が仮に1年間動かなかったと仮定すると、75万円の投資に対して29,200円をスワップポイントとして得られますので、3.89%の利息がもらえるのと同じ効果が得られます。
今、日本の金利はわずか0.1%ととても低いので、FX取引により利回りの高い外国の通貨で利息を稼ぐという方法もあるのです。


FXの魅力って何?

では、FXはなぜ人気があるのでしょうか。以下の3つが挙げられます。
1.元手が少なくても大きな額の取引ができること
2.外貨によっては金利が高いこと
3.取引がわかりやすいこと

1.元手が少なくても大きな額の取引ができること

まず1つめは、「元手が少なくても大きな額の取引ができる」ということであり、FXの投資家が増えた1番の大きな理由といってもいいでしょう。つまり、ある金額からFXの取引を行う際に、「レバレッジ」を使うと大きな額の取引を行うことができ、先ほどの例でもご紹介したとおり、レバレッジ10倍とは元手が10万円とすると、その10倍の100万円分の取引ができることを言います。したがって、うまくいけば通常の10倍の利益が得られることになります。


2.外貨の金利が日本円でもらえること

金利が高い通貨の場合、「スワップポイント」というものがもらえます。先ほどの例でもお話したとおり、オーストラリアドル($1=80円と仮定)で1万ドルあたりのスワップポイントが「80」とすると、1万ドルを保有していれば1日あたり80円の利息がつくということになります。365日で計算をすると、1年で29200円の利息が付くことになり、年率にして3.65%の利回りを得られる計算になります。このように高い外国の金利を日本にいながら享受することができ、しかも日本円で受け取ることができるのです。


3.取引が分かりやすいこと

株式投資だと投資する業界や会社の業績など様々な知識が必要であり、またその会社の株価をインターネットなどで調べる必要があります。また、投資信託であれば、どんな金融商品に分散されているか、人気のある商品か、など詳しい知識が必要です。しかし、FXであれば基本的には為替ですので、ドルやユーロの相場であれば毎日のニュースなどで放送されており、専門的な知識がなくてもゲーム感覚で取引に参加することができます。また、1998年に法律が改正されて外国為替取引が自由になったことからFXを扱う会社が次々に増え、結果として各社が競って手数料の安く、そして分かりやすい取引が可能になったといえます。

以上3つの理由から、FX取引は日本に急速に広まりつつあります。


レバレッジの高い取引には要注意!

このように分かりやすい分かりやすく、しかも短期で儲けることができるので、FXはいまや人気の投資方法となっています。しかし一方、短期間でたくさん儲けることができる、ということは、短期間でたくさん損する可能性も高い、という裏返しでもあります。特に、高いレバレッジでの取引は、それまで儲けたお金を全て一気に失ってしまうということにもなりかねず、先ほどの吉田さんのような失敗をしている人が多いのも事実です。またあまりに高いレバレッジで取引をすると、それこそ寝ても覚めても為替のことが気になってしまい、仕事や勉強が手に付かない、なんてことにもなりかねません。

そのためには、「儲けたい!」という自分の欲をコントロールすることがとても大事になってきます。自分が取れるリスクをきちっと頭に入れておきながら、あまり欲張りすぎず上手にFX取引を行うようにしましょう。


執筆:坂本光(さかもと ひかる)CFP
一級ファイナンシャルプランナー・CFPR、日本キャリア開発協会認定キャリアカウンセラー、日本応用カウンセリング審議会認定心理カウンセラー。2006年5月週末起業を決意し、通信事業者に勤務しながら合同会社FPアウトソーシング代表を務める。ファイナンシャルプランニングに関する個別相談・セミナー講師としても活動中。

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